カジノ法案成立で日本はどう変わる? |IR整備法案の最新情報まとめ【2021年1月更新】

ラスベガスやマカオのような海外のカジノは観光地としても世界的に有名で、カジノ目的で海外旅行を楽しみたい人もいるでしょう。このご時世、気軽に海外渡航できない状況でもありますが、店舗型カジノ(ランドカジノ)を日本で実現させようという取り組みがカジノ法案(IR整備法案です。

2018年7月にはカジノ法案(IR整備法)が国会を通過し、いよいよ実現にむけて動き出そうとしています。カジノ法案の成立によって、日本にもラスベガスのようなランドカジノが出現すると期待している方もいるかもしれませんが、現実的には厳しい面もあり、候補地決定まで猶予があるため、日本にカジノができるのはまだまだ先になりそうですね

こちらのページではカジノ法案の具体的な内容や進行具合、また、カジノ法案がおよぼす日本のギャンブルへの影響などを詳しく解説していきます。

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目次

カジノ法案(IR整備法案)って何?|統合型リゾート施設を作る目的

カジノ法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」です。

正式名称にある特定複合観光施設区域を英語でIntegrated Resort(統合されたリゾート)と呼び、この頭文字から通称「IR整備法案」とも呼ばれます。カジノ法案と呼ばれるのは、この法律の核となる内容が日本国内でのカジノの合法化を目指す法案だからなのです。

カジノ法案=IR整備法案は統合型リゾート施設創出を目的!

カジノ法案=IR整備法案とは、その名称通りIR(Integrated Resort)を整備するための法律です。IRと呼ばれる特定複合観光施設とは、以下のような店舗が一体化した総合的な観光施設であり、統合型リゾートとも呼ばれます。

  • カジノ
  • 会議場
  • レクリエーション
  • コンベンション施設
  • ショッピングセンター
  • 宿泊施設(ホテル)

通称カジノ法案とも呼ばれる法律案ですが、実はカジノを含む複合的かつ総合的なリゾート施設創出のための法律なのです。実際の法律案では以下のように定義されています。

第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。

出典:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ法案)第2条

カジノ法案(IR整備法案)が掲げる3つの目的とは?


カジノ法案(IR整備法案)が成立したことによる社会の変化やメリットについて、以下でまとめました。IR(統合型リゾート)ができることで、社会的な貢献が多くありますね。

カジノ法案の目的1|観光産業の振興

複合型のリゾート施設の創出により、観光産業の振興を図ります

国内の観光客誘致もありますが、この法案の最も重要な点は、海外からの富裕層を日本に観光誘致すること、いわゆるインバウンドの増大にあります。

カジノ法案の目的2|地域経済の活性化

複合型のリゾート施設を運営することにより、創出された地域には大きな雇用創出の機会となり、観光客が集まることから、周辺地域にも観光産業の活性化が見込まれます。

カジノ法案の目的3|財政への貢献

観光に付随した消費の促進や外国人観光客の取り込みなどが見込めるIR(統合型リゾート)には、大きな経済効果が見込めます。施設の開発に伴う経済効果は1兆円を超えるとも言われ、その後の運営でも、毎年数千億円の経済効果が見込めると想定されています。

当然、国家の税収面でも高い効果が見込まれています。そして、これらの目的を達成するための切り札が、これまで日本では公営ギャンブル以外は違法としてきた賭博を特定地域に限って認めようとする試みがIR整備法案です。

日本でのカジノ開業はいつから?|カジノ法案の流れ・進捗状況

カジノ法案自体はIR整備法案の前に、IR推進法案が2016年12月に成立するなど、政治の動きをたどると結構長くなります。また、IR整備法案が成立してもすぐにカジノが開業できる訳でなく、様々な過程があるので以下表にてまとめました。

IR開発・開業までの流れ対応時期(予定時期)概要
IR推進法の成立2016年12月IR(統合型リゾート)を日本で運営するための、大枠的な法案
IR推進本部の設置2017年3月『特定複合観光施設区域整備推進本部』を設置して、IR開業のための準備が進みます(推進本部長は安倍元首相)
IR整備法の成立・公布2018年7月IR運営に関する具体的な条件・整備内容についての法案
ギャンブル等依存症対策基本法の成立2018年7月ギャンブル依存症など借金・多重債務など重大な社会問題の対策計画
カジノ管理委員会の設置2020年1月カジノ事業・運営に関する統括組織
IR整備法に基づく基本方針2020年12月IR事業者との接触ルールなど、実施方針に関する決定
候補地・自治体の正式決定2021年10月〜2022年IRを運営する場所・自治体が最大3箇所決まる
IR事業者の選定・決定2021年後半〜2022年IRの運営・開発に協力する事業者が決まる

直近だと2020年12月に、IR整備法に基づく基本方針の決定が公表されました。当初は2020年1月に決まる予定でしたが延期になり、2020年末までかかったようですね。

国土交通省 観光庁 IR整備法に基づく基本方針の決定等について

そのため、2021年1月現在では、IR整備法が決まってこれからの方針や計画がある程度固まってきた段階ですが、実際にどの都道府県・自治体で統合型リゾートを運営するかとか、協力してくれる事業者の見通しなど、決まるのはまだまだ先になり2022年頃の予定です。

そこから建設など具体的な準備に入るので、順調に行っても日本国内でのカジノ運営は2025年頃のスタートだと見込まれていましたが、予定通りに進まない可能性も高いですね。

IR(統合型リゾート)におけるカジノの役割・海外のIR事例

それでは、総合型リゾートの開発を目的としたIR整備法案がなぜカジノ法案と呼ばれるようになったのでしょうか。それは、統合型リゾートの中でもランドカジノ(店舗型カジノ)施設が非常に重要な役割を果たすからなのです。

統合型リゾート内に占めるカジノの施設規模は全体の35%~5%程度にとどまりますが、収益はIR全体の70%~80%程度を占めると想定されています。

また、カジノでのギャンブルを目的とした海外からの観光客も見込めるので、IR(統合型リゾート)=カジノというイメージが定着し、カジノ法案と呼ばれるようになりました。

ざっくりと言えば、IR(統合型リゾート)の運営形態として、会議場やコンベンション施設などは質の高い施設と運営を目指し、施設全体の収益をカジノが支えます。そして、施設を目的とした来訪者の宿泊や消費をホテル・ショッピングセンターが担うという構図になりますね。

海外のIR(統合型リゾート)事例1|ラスベガス(アメリカ)

IR(統合型リゾート)は、日本ではようやく法案が成立した試みですが、海外では数多く存在し、それぞれに特徴があります。いくつかの海外のIR事例をご紹介しますが、IR(統合型リゾート)の中でも世界で最も有名なのはアメリカのラスベガスですね

一般的にはもっぱらカジノとギャンブルのイメージですが、実はラスベガスのIRではスポーツ興業や演劇・コンサート、サーカスなどのイベントなどがとても盛んです。

そのため、IRに占めるカジノの収益は全体の3割ほどに留まっています。世界で最も成功しているIRの事例と言えるでしょう。

海外のIR(統合型リゾート)事例2|マカオ(中国)

マカオはラスベガスとは正反対のIRであり、カジノを中心とした統合型リゾートであるため全体の収益の8割近くをカジノで支えています

ラスベガス同様に歴史のあるIRですが、香港からも近く、観光や消費は香港で、ギャンブルはマカオでとすみわけができているようにも思われます。また、マカオには富裕層の顧客が非常に多く、最近では特に中国国内の富裕層の利用が増加しているようです。

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海外のIR(統合型リゾート)事例3|シンガポール

シンガポールは比較的歴史は浅く、2010年にIRに参入しました。マリーナベイサンズは世界的にも有名で、2017年にはIRで5,383億円の収益を上げており短期間でラスベガス、マカオに次ぐ世界第3位の規模に成長ました。

また、日本での石原元東京都知事が描いた「お台場カジノ構想」は、このシンガポールの事例がモデルと言われています。シンガポールのIR運営はカジノの収益に過度に依存することなく、法的な規制により全体のバランス感を重視している事から、今後の日本が目指すIRのモデルの一つと言えるでしょう

カジノ法案(IR整備法案)による3つのメリット


日本では2010年に国会内にIR議連(国際観光産業振興議員連盟)が発足し、法整備にむけた議論が始まりました。それから上記でもご説明したように、カジノ法案が成立してからも様々な過程や課題をクリアする必要があり、長い年月がかかりますね。

それだけ政府がカジノ法案に対して注力しているのには理由があり、カジノの開業を含むIR(統合型リゾート)開発のメリットとデメリットに関して詳しくご説明いたします。カジノ法案(IR整備法)の成立によってもたらされるメリットは大きく3あります。

カジノ法案のメリット1|高い経済効果

IR(統合型リゾート)はアジアでもマカオ、シンガポールだけではなく、韓国・スリランカ・カンボジア・インドなどでも展開され、いずれの国においても高い経済効果を生んでいます。

アメリカのシティグループによる試算では、日本国内で3ヶ所のIRを建設した場合の経済効果は、およそ1兆5,000億円とされています。もしこの試算通りに収益が上がれば、シンガポールを抜いて世界第3位の規模となるでしょう。

カジノ法案のメリット2|雇用の拡大

IR整備法案によって生み出される統合型リゾートは、非常に規模の大きい観光施設であり、国際的な会議やコンベンションなども誘致される施設となります。

様々な商業施設や宿泊施設、会議やコンベンションなどの運営を支えるためには数多くのスタッフが必要になります。試算では、一つの統合型リゾート建設により15,000人以上の雇用が生まれるとされています。

カジノ法案のメリット3|地域活性化

統合型リゾートが建設されるとなれば、多くの観光客が訪れるための交通網や鉄道網の整備が行われます。周辺地域にも宿泊施設や商業施設が誘致され、観光による消費の拡大が見込まれるでしょう。

また、統合型リゾートからもたらされる収益は税金となり日本の財政にも大きな貢献をもたらし、同様に建設された地域でも地方税収の大幅増加が見込まれるのです。

カジノ法案(IR整備法案)による4つのデメリット

日本では公営ギャンブル以外の賭博は長らく禁じられていたために、新たにスタートするカジノ法案(IR整備法)に対しては様々な不安やデメリットを指摘する意見も少なくありません。

カジノを含む統合型リゾート建設に伴う主なデメリットには、以下のような点が挙げられます。以前より、IR整備法案には課題がありましたが、2020年以降店舗型カジノの運営に逆風が吹いていますね。

カジノ法案のデメリット1|治安の悪化

統合型リゾートにはカジノを目的とした多数の外国人の訪問も想定されます。そのため、周辺地域の治安が悪化するのではないかと懸念されています

しかし、新たな法案で富裕層をターゲットとした統合型リゾートで、確実に治安が悪化するとも言えないため、実際にIRが営業してからでないと分からない問題点でしょう。

カジノ法案のデメリット2|ギャンブル依存症の増加

公営ギャンブルに続いて新たなギャンブル施設の開設によって、ギャンブルにのめり込んでしまうギャンブル依存症と言われる現象が増加するのではないかという懸念の声も聞かれます。

しかし、統合型リゾートはカジノを含む総合的かつ複合的な施設となります。パチンコや競輪・競馬などのギャンブルと比較しても、カジノの開設がギャンブル依存症の増大に繋がるかは見解が分かれています。

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カジノ法案のデメリット3|地域のイメージ悪化

カジノなどのギャンブル施設の誘致によって、地域の良好なイメージが低下するのではないかという意見も聞かれます。確かに、古くからある地域の良いものやイメージは残さなければなりません。

また、ギャンブルであるがゆえに、反社会勢力との関係は厳しく管理する必要があります。地元住民からの反対運動なども活発化すると、運営開始まで時間を要しますね。

以上の理由で、日本に店舗型カジノが合法的にできるのはまだまだ先になりそうですね。そのため、オンラインカジノの需要が伸びそうです。オンラインカジノについては基礎・ビギナー向けの解説ページをご参考くださいませ。

カジノ法案のデメリット4|コロナ禍による経済効果への懸念

また、2020年よりコロナ禍で観光客が激減して、日本だけでなく海外各地でも観光業へのマイナスが大きくカジノ業界も例外ではありません。カジノ事業に対する運営方針や投資戦略など見直される中で、コロナ禍前に想定していた経済効果・税収額予想より大きく下方修正される懸念点もあるでしょう。

まずは地域住民が安全に暮らせるための衛生管理や地域振興に関する抜本的な対策など、国側が優先するべき事項も多くあるため、2021年時点ではIR運営に積極的な自治体も減少せざるを得ないでしょう。

カジノ法案のデメリット対策としての規制は?


統合型リゾート建設にあたって、指摘されている様々なデメリットもある中で法案の整備に関する様々な対策が検討されています。

対策には大きく分けて利用者への規制と事業者への規制、二つの方向性があります。

IRに関する対策・利用者への規制

統合型リゾート内のカジノ利用に関しては、利用者に対して以下のような規制が設けられる予定です。

  • 入場料は1回6000円
  • 週の入場回数制限は3回
  • 月の入場回数制限は10回
  • マイナンバーの提示
  • カジノ税の導入|収入の30%を基準

これにより安易な利用や必要以上にのめり込んだ利用を防止してギャンブル依存症に対する対策としています。

ただし、IR整備法案のメインターゲットは、海外からの富裕層の誘致です。海外からの観光客には規制は適用されないのが、ネックですね。ただし、マネーロンダリング防止の観点からパスポートや身分証明などの提示は求められます。

また、カジノ税は国の収入になり地域経済の振興などを目的とした税金ですが、30%は結構高いですね。オンラインカジノや競馬などのギャンブルを参考に比較すると、ギャンブル収入の一時所得は年間300万円程度の場合10%の税率になるので、カジノ税の負担は大きいです。

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IRに関する対策・事業者への規制

カジノ事業を実施する運営会社に対しても整備法に基づき厳しい審査が行われ、認可を得た会社のみが開設することができます。その上、カジノの運営が始まったのちも第三者機関により厳しい査定が継続して行われる予定になっています。

また、ギャンブル依存防止や清浄な風俗環境の維持などを目的として、不適切なカジノ施設の広告・勧誘は規制されます。特に未成年者に対しての広告や勧誘は厳しい取り締まりは必須でしょう。

カジノ法案の展望・IRの候補地は?

IR建設に関する現在の状況は2021年に入って、これから候補地や自治体について決まってくる段階ですが、2021年1月時点でのカジノ候補地は以下の通りです。

  • 東京都 お台場
  • 大阪府 夢洲
  • 和歌山県 マリーナシティ
  • 長崎県 佐世保市(ハウステンボス)
  • 神奈川県 横浜(山下ふ頭)
  • 愛知県 名古屋・常滑
  • 千葉県 幕張新都心 ※IR誘致を見送り
  • 北海道 苫小牧市・留寿都村 ※IR誘致を見送り

有力のIR運営候補地|大阪・夢洲

大阪はカジノ法案が動き出した当初よりIRの運営自治体候補でしたが、2025年の万博開催地に決定していることもあり相乗効果が期待できます。

IR誘致に向けて協力団体・事業者がほぼ決まっていたり、住民からの反対運動なども比較的ない方ではありますが、それでも有権者からの反対割合がまだ多いなど課題が多く、人工島である夢洲へのアクセス整備でも多額の費用・税金がかかるなど懸念点もありますね。

日本経済新聞 大阪IR誘致「反対」52%、万博行きたい7割

横浜(山下ふ頭)も有力候補地だけど住民からの反対が強い

また、日本国内でのIR運営自治体では横浜も有力候補地で、国内外の注目度が高く可能性は高いですが、住民からの反対運動が活発で地域内での合意形成において課題があります。

2021年1月より市議会臨時会にて、IR誘致の賛否を問う住民投票条例案について提出されますが誘致反対の署名が19万件以上も集まっております。ただ、横浜市の林市長は『住民投票を実施することには、意味を見出しがたい』との意見も出しており、なかなか折り合いがつかないことが見込まれますね。

時事通信IR住民投票に反対意見 条例案提出へ―横浜市

追記:2021年1月7日、横浜市議会の本会議にて住民投票条例案は自民党と公明党の反対多数にて否決されました。今後は、事業者の公募などの手続きへ動くと思われますが、今年8月には横浜市内にて市長選挙があることから、住民側のヘイト・反発がより強くなることが予測されますね。

外部サイト 横浜 IR誘致の是非問う住民投票条例案 市議会で否決

立候補する自治体の減少・延期も

現在はIR開発に関する基本的な方向性を定めた推進法が成立したフェーズで今後、実施に向けた数々の関連法を成立させる必要があります。また、同時に数々のデメリットに対しての対策をより明確にし、国民の理解を得る努力もまだまだ必要な段階ですね。

また、国会議員による汚職事件などを理由に足踏み状態であり、自治体の認定申請も2021年10月開始へ延長するなど時間がかかる見込みです。

日本経済新聞 IR候補地、申請期間を9カ月延期

まだまだ日本国内でのランドカジノ開業は遠いため、カジノゲームなどのギャンブルを楽しむにはオンラインカジノが現実的です。当サイトでは、オンラインカジノに関する情報や、安全にプレイするのためのコンテンツ特集など取り扱っていますので、カジノゲームをすぐに楽しみたい方は要チェックです。

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