カジノはいつ日本にできる?カジノ法案から読み解くIRの開業・展望【2023年3月更新】

日本にカジノができるきっかけとして、2016年12月に成立したIR推進法があります。店舗型カジノ(ランドカジノ)を日本で実現させようという取り組みがカジノ法案(IR整備法案でありますが、現状の動きやいつカジノができるのか、気になる人もいるでしょう。

2018年7月にはカジノ法案(IR整備法)が国会を通過し、いよいよ実現にむけて動き出そうとしていたはずですが現実的には厳しい面もあり、日本にカジノができるのは早くても2026年以降になりそうです。

  • 日本に店舗型カジノができる見通しはどうなっているのか?
  • カジノができるとしたら、どこが有力地になっているか?
  • カジノ法案ができることで、日本国内のギャンブルはどう影響するか?

こちらのページではカジノ法案の具体的な内容や進行具合のほか、日本にできるランドカジノの詳細など解説します。

目次

日本にカジノができる背景|カジノ法案(IR整備法案)って何?

カジノ法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」です。

正式名称にある特定複合観光施設区域を英語でIntegrated Resort(統合されたリゾート)と呼び、この頭文字から通称「IR整備法案」とも呼ばれます。カジノ法案と呼ばれるのは、この法律の核となる内容が日本国内でのカジノの合法化を目指す法案だからなのです。

カジノ法案=IR整備法案は統合型リゾート施設創出を目的!

カジノ法案=IR整備法案とは、その名称通りIR(Integrated Resort)を整備するための法律です。IRと呼ばれる特定複合観光施設とは、以下のような店舗が一体化した総合的な観光施設であり、統合型リゾートとも呼ばれます。

  • カジノ
  • 会議場
  • レクリエーション
  • コンベンション施設
  • ショッピングセンター
  • 宿泊施設(ホテル)

通称カジノ法案とも呼ばれる法律案ですが、実はカジノを含む複合的かつ総合的なリゾート施設創出のための法律なのです。実際の法律案では以下のように定義されています。

第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。

出典:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ法案)第2条

日本にカジノができる理由|カジノ法案が掲げる3つの目的とは?


カジノ法案(IR整備法案)が成立したことによる社会の変化やメリットについて、以下でまとめました。IR(統合型リゾート)ができることで、社会的な貢献が多くありますね。

カジノ法案の目的1|観光産業の振興

複合型のリゾート施設の創出により、観光産業の振興を図ります

国内の観光客誘致もありますが、この法案の最も重要な点は、海外からの富裕層を日本に観光誘致すること、いわゆるインバウンドの増大にあります。

カジノ法案の目的2|地域経済の活性化

複合型のリゾート施設を運営することにより、創出された地域には大きな雇用創出の機会となり、観光客が集まることから、周辺地域にも観光産業の活性化が見込まれます。

カジノ法案の目的3|財政への貢献

観光に付随した消費の促進や外国人観光客の取り込みなどが見込めるIR(統合型リゾート)には、大きな経済効果が見込めます。施設の開発に伴う経済効果は1兆円を超えるとも言われ、その後の運営でも、毎年数千億円の経済効果が見込めると想定されています。

当然、国家の税収面でも高い効果が見込まれています。そして、これらの目的を達成するための切り札が、これまで日本では公営ギャンブル以外は違法としてきた賭博を特定地域に限って認めようとする試みがIR整備法案です。

日本でカジノはいつできる?|カジノ法案の流れ・進捗状況

カジノ法案自体はIR整備法案の前に、IR推進法案が2016年12月に成立するなど、政治の動きをたどると結構長くなります。また、IR整備法案が成立してもすぐにカジノが開業される訳でなく、様々な過程があるので以下表にてまとめました。

IR開発・開業までの流れ対応時期(予定時期)概要
IR推進法の成立2016年12月IR(統合型リゾート)を日本で運営するための、大枠的な法案
IR推進本部の設置2017年3月『特定複合観光施設区域整備推進本部』を設置して、IR開業のための準備が進みます(推進本部長は安倍元首相)
IR整備法の成立・公布2018年7月IR運営に関する具体的な条件・整備内容についての法案
ギャンブル等依存症対策基本法の成立2018年7月ギャンブル依存症など借金・多重債務など重大な社会問題の対策計画
カジノ管理委員会の設置2020年1月カジノ事業・運営に関する統括組織
IR整備法に基づく基本方針2020年12月IR事業者との接触ルールなど、実施方針に関する決定
IR事業者の選定・決定2021年後半IRの運営・開発に協力する事業者を決める
→大阪府(市)・長崎それぞれで選定済
候補地・自治体の申請・正式決定2021年10月〜2023年予定
※今ここ
IRを運営する場所・自治体が最大3箇所決まる
大阪府(市)・長崎が現状候補(認可待ち)
カジノ(IR)の開業早くても2026年以降大阪・長崎でのカジノ開業はまだ先

2020年12月に、IR整備法に基づく基本方針の決定が公表されました。当初は2020年1月に決まる予定でしたが延期になり、2020年末までかかったようですね。

国土交通省 観光庁 IR整備法に基づく基本方針の決定等について

予定よりもカジノ・IR設置場所の候補地決定が遅れている|早くても2026年以降

2021年1月現在では、IR整備法が決まってこれからの方針や計画がある程度固まってきた段階ですが、実際にどの都道府県・自治体で統合型リゾートを運営するかとか、協力してくれる事業者の見通しなど、決まるのはまだまだ先になります。

理由としてはコロナの影響もありますが、国会議員による汚職事件などを理由に遅れています。カジノを建てる場所を決定してから、建設など具体的な準備に入るので、順調に行っても日本国内でのカジノ運営は2025年頃のスタートだと見込まれていました。

追記:候補地について上記表の通り、2つ(大阪府・市と長崎県)に絞られました。それぞれ、区域整備計画の認定手続きを進めています。実際のIR施設の着工は、政府による区域整備計画の認定をされてからになります。2023年中には、政府による認定の有無が決まるかという感じです。

ただ、以下でも説明しますが有力地である大阪は2025年に大阪万博も予定されており、万博前のカジノ開業が難しいという観点からさらに遅れて2026〜2029年あたりとなります。長崎もハウステンボスでのIR誘致を目指していますが、開業は2027年を予定しており、政府からの認可が遅れるとさらに後ろ倒しになることが見込まれます

日本のどこにカジノができる?|IRの候補地まとめ

現在の状況では、ランドカジノ(IR)の候補地をこれから決定していく段階です。候補となる自治体について、最新の状況は以下のとおりです。

  • 東京都:お台場 ※IR誘致を見送り
  • 大阪府:夢洲 ※国・政府からの認定待ち
  • 和歌山県:マリーナシティ ※IR誘致を見送り
  • 長崎県:佐世保市(ハウステンボス) ※国・政府からの認定待ち
  • 神奈川県:横浜(山下ふ頭) ※IR誘致を見送り
  • 愛知県:名古屋・常滑 ※IR誘致を見送り
  • 千葉県:幕張新都心 ※IR誘致を見送り
  • 北海道:苫小牧市・留寿都村 ※IR誘致を見送り

当初はいくつか候補地はありましたが、2023年3月時点では最終的に大阪と長崎の2つが候補地に絞られています

有力のIR運営候補地1|大阪・夢洲は2026〜2029年開業予定

大阪はカジノ法案が動き出した当初よりIRの運営自治体候補でしたが、2025年の万博開催地に決定していることもあり相乗効果が期待できます。

IR誘致に向けて協力団体・事業者は2021年9月に決定しており、MGM・オリックス コンソーシアムが選定されました。住民からの反対運動なども比較的ない方ではありますが、それでも有権者からの反対割合がまだ多いなど課題が多く、人工島である夢洲へのアクセス整備でも多額の費用・税金がかかるなど懸念点もありますね。

日本経済新聞 大阪IR誘致「反対」52%、万博行きたい7割

2023年より、IR開業に向けて夢洲に警察署を新設するなど治安対策が進められています。また、事業者である日本MGMリゾーツは『次世代リーダー育成プログラム』と称して、国際的なカジノ人材の養成も行っております。

夢洲でのカジノ建設工事は万博が終わった後になるため、2026年〜2029年度を予定しています。2023年3月時点ではまだ大阪でのカジノ開業は決まっていませんが、現地調査の準備や府・市の予算を使って事業に乗り出すかどうかどうか、認定許可状況に応じて判断をしている段階です。

▷外部サイト:IR開業「なら」夢洲に警察署新設へ 大阪府が来年度予算案に計上

有力のIR運営候補地2|長崎・ハウステンボスは2027年開業予定

長崎の佐世保市もハウステンボスでのIR誘致に向けて力を入れており、長崎だけでなく九州全体の経済活性化など期待できます。2021年8月に事業所が決まり、カジノオーストリア・インターナショナルジャパンが選ばれています。

ハウステンボスまでのアクセスの課題などもあり、交通面での対策もあるため開業予定である2027年からは遅れる可能性もありますが現状では大阪と並ぶカジノ候補地となっております。

日本のカジノ建設では大阪が注目されていますが、長崎・ハウステンボスにもIRが開業できる可能性はあります。2022年4月に区域整備計画の申請をして、現在では国・政府からの認可待ちです。計画によると、開業5年目での年間売上高は約2,700億円(カジノ部門だけで約2,000億円)とのことで、経済的にも大きなインパクトがあるでしょう。

▷外部サイト:長崎県 特定複合観光施設(IR)

有力候補であった和歌山は県議会による否決で撤退

和歌山もIR誘致で注目されていましたが、2022年4月の県議会本会議により国へのIR事業計画申請に関する否決がありました。これにより和歌山マリーナシティへのIR誘致も撤退となりました。

ただ、仁坂知事は『別の手段で和歌山県の力を必死に高める責任があると考えている』と述べており、完全にはIR誘致を諦めているという姿勢ではないようです。それでも、期限までに整備計画の申請ができなくなったため、実質上は大阪と長崎の2つが候補地となっております。

▷外部サイト:和歌山のIR計画白紙に 県議会が整備計画案を反対多数で否決

横浜(山下ふ頭)も有力候補地であったものの撤退

また、日本国内でのIR運営自治体では横浜も有力候補地で、国内外の注目度が高く可能性は高いですが、住民からの反対運動が活発で地域内での合意形成において課題があります。

2021年1月より市議会臨時会にて、IR誘致の賛否を問う住民投票条例案について提出されますが誘致反対の署名が19万件以上も集まっております。ただ、横浜市の林市長は『住民投票を実施することには、意味を見出しがたい』との意見も出しており、なかなか折り合いがつかないことが見込まれますね。

追記:2021年1月7日、横浜市議会の本会議にて住民投票条例案は自民党と公明党の反対多数にて否決されました。今後は、事業者の公募などの手続きへ動くと思われますが、8月には横浜市内にて市長選挙があることから、住民側のヘイト・反発がより強くなることが予測されます。

実際、2021年8月の横浜市長選では、IR誘致を推進してきた林前市長は落選して、カジノ反対派である山中竹春氏が当選しました。その結果、2021年9月には正式な撤退を表明しています

立候補する自治体の減少・延期も

現在はIR開発に関する基本的な方向性を定めた推進法が成立したフェーズで今後、実施に向けた数々の関連法を成立させる必要があります。また、同時に数々のデメリットに対しての対策をより明確にし、国民の理解を得る努力もまだまだ必要な段階ですね。

また、国会議員による汚職事件などを理由に足踏み状態であり、自治体の認定申請も2021年10月開始へ延長するなど時間がかかっていました。現状、大阪府(市)と長崎県の両方で認定申請中となっております。

日本経済新聞 IR候補地、申請期間を9カ月延期

IR(統合型リゾート)におけるカジノの役割・海外のIR事例

それでは、総合型リゾートの開発を目的としたIR整備法案がなぜカジノ法案と呼ばれるようになったのでしょうか。それは、統合型リゾートの中でもランドカジノ(店舗型カジノ)施設が非常に重要な役割を果たすからなのです。

統合型リゾート内に占めるカジノの施設規模は全体の35%~5%程度にとどまりますが、収益はIR全体の70%~80%程度を占めると想定されています。

また、カジノでのギャンブルを目的とした海外からの観光客も見込めるので、IR(統合型リゾート)=カジノというイメージが定着し、カジノ法案と呼ばれるようになりました。

ざっくりと言えば、IR(統合型リゾート)の運営形態として、会議場やコンベンション施設などは質の高い施設と運営を目指し、施設全体の収益をカジノが支えます。そして、施設を目的とした来訪者の宿泊や消費をホテル・ショッピングセンターが担うという構図になりますね。

海外のIR(統合型リゾート)事例1|ラスベガス(アメリカ)

IR(統合型リゾート)は、日本ではようやく法案が成立した試みですが、海外では数多く存在し、それぞれに特徴があります。いくつかの海外のIR事例をご紹介しますが、IR(統合型リゾート)の中でも世界で最も有名なのはアメリカのラスベガスですね

一般的にはもっぱらカジノとギャンブルのイメージですが、実はラスベガスのIRではスポーツ興業や演劇・コンサート、サーカスなどのイベントなどがとても盛んです。

そのため、IRに占めるカジノの収益は全体の3割ほどに留まっています。世界で最も成功しているIRの事例と言えるでしょう。

海外のIR(統合型リゾート)事例2|マカオ(中国)

マカオはラスベガスとは正反対のIRであり、カジノを中心とした統合型リゾートであるため全体の収益の8割近くをカジノで支えています

ラスベガス同様に歴史のあるIRですが、香港からも近く、観光や消費は香港で、ギャンブルはマカオでとすみわけができているようにも思われます。また、マカオには富裕層の顧客が非常に多く、最近では特に中国国内の富裕層の利用が増加しているようです。

関連記事:ハイローラーが利用しているカジノは?

海外のIR(統合型リゾート)事例3|シンガポール

シンガポールは比較的歴史は浅く、2010年にIRに参入しました。マリーナベイサンズは世界的にも有名で、2017年にはIRで5,383億円の収益を上げており短期間でラスベガス、マカオに次ぐ世界第3位の規模に成長ました。

また、日本での石原元東京都知事が描いた「お台場カジノ構想」は、このシンガポールの事例がモデルと言われています。シンガポールのIR運営はカジノの収益に過度に依存することなく、法的な規制により全体のバランス感を重視している事から、今後の日本が目指すIRのモデルの一つと言えるでしょう

日本にカジノができることでの3つのメリット

日本では2010年に国会内にIR議連(国際観光産業振興議員連盟)が発足し、法整備にむけた議論が始まりました。それから上記でもご説明したように、カジノ法案が成立してからも様々な過程や課題をクリアする必要があり、長い年月がかかりますね。早くても2026年以降と、まだ先の話です。

それだけ政府がカジノ法案に対して注力しているのには理由があり、カジノの開業を含むIR(統合型リゾート)開発のメリットとデメリットに関して詳しくご説明いたします。カジノ法案(IR整備法)の成立によってもたらされるメリットは大きく3あります。

カジノ法案のメリット1|高い経済効果

IR(統合型リゾート)はアジアでもマカオ、シンガポールだけではなく、韓国・スリランカ・カンボジア・インドなどでも展開され、いずれの国においても高い経済効果を生んでいます。

アメリカのシティグループによる試算では、日本国内で3ヶ所のIRを建設した場合の経済効果は、およそ1兆5,000億円とされています。もしこの試算通りに収益が上がれば、シンガポールを抜いて世界第3位の規模となるでしょう。

カジノ法案のメリット2|雇用の拡大

IR整備法案によって生み出される統合型リゾートは、非常に規模の大きい観光施設であり、国際的な会議やコンベンションなども誘致される施設となります。

様々な商業施設や宿泊施設、会議やコンベンションなどの運営を支えるためには数多くのスタッフが必要になります。試算では、一つの統合型リゾート建設により15,000人以上の雇用が生まれるとされています。

カジノ法案のメリット3|地域活性化

統合型リゾートが建設されるとなれば、多くの観光客が訪れるための交通網や鉄道網の整備が行われます。周辺地域にも宿泊施設や商業施設が誘致され、観光による消費の拡大が見込まれるでしょう。

また、統合型リゾートからもたらされる収益は税金となり日本の財政にも大きな貢献をもたらし、同様に建設された地域でも地方税収の大幅増加が見込まれるのです。

日本にカジノができる4つのデメリット

日本では公営ギャンブル以外の賭博は長らく禁じられていたために、新たにスタートするカジノ法案(IR整備法)に対しては様々な不安やデメリットを指摘する意見も少なくありません。

カジノを含む統合型リゾート建設に伴う主なデメリットには、以下のような点が挙げられます。以前より、IR整備法案には課題がありましたが、2020年以降店舗型カジノの運営に逆風が吹いていますね。

カジノ法案のデメリット1|治安の悪化

統合型リゾートにはカジノを目的とした多数の外国人の訪問も想定されます。そのため、周辺地域の治安が悪化するのではないかと懸念されています

しかし、新たな法案で富裕層をターゲットとした統合型リゾートで、確実に治安が悪化するとも言えないため、実際にIRが営業してからでないと分からない問題点でしょう。

カジノ法案のデメリット2|ギャンブル依存症の増加

公営ギャンブルに続いて新たなギャンブル施設の開設によって、ギャンブルにのめり込んでしまうギャンブル依存症と言われる現象が増加するのではないかという懸念の声も聞かれます。

しかし、統合型リゾートはカジノを含む総合的かつ複合的な施設となります。パチンコや競輪・競馬などのギャンブルと比較しても、カジノの開設がギャンブル依存症の増大に繋がるかは見解が分かれています。

関連記事:パチンコ店の禁煙化による変化

カジノ法案のデメリット3|地域のイメージ悪化

カジノなどのギャンブル施設の誘致によって、地域の良好なイメージが低下するのではないかという意見も聞かれます。確かに、古くからある地域の良いものやイメージは残さなければなりません。

また、ギャンブルであるがゆえに、反社会勢力との関係は厳しく管理する必要があります。地元住民からの反対運動なども活発化すると、運営開始まで時間を要しますね。

以上の理由で、日本に店舗型カジノが合法的にできるのはまだまだ先になりそうですね。そのため、オンラインカジノの需要が伸びそうです。オンラインカジノについては基礎・ビギナー向けの解説ページをご参考くださいませ。

カジノ法案のデメリット4|コロナ禍による経済効果への懸念

また、2020年よりコロナ禍で観光客が激減して、日本だけでなく海外各地でも観光業へのマイナスが大きくカジノ業界も例外ではありません。カジノ事業に対する運営方針や投資戦略など見直される中で、コロナ禍前に想定していた経済効果・税収額予想より大きく下方修正される懸念点もあるでしょう。

まずは地域住民が安全に暮らせるための衛生管理や地域振興に関する抜本的な対策など、国側が優先するべき事項も多くあるため、IR運営に積極的な自治体も減少せざるを得ないでしょう。

カジノ法案のデメリット対策としての規制にも課題あり


統合型リゾート建設にあたって、指摘されている様々なデメリットもある中で法案の整備に関する様々な対策が検討されています。

対策には大きく分けて利用者への規制と事業者への規制、二つの方向性があります。

IRに関する対策・利用者への規制

統合型リゾート内のカジノ利用に関しては、利用者に対して以下のような規制が設けられる予定です。

  • 入場料は1回6000円
  • 週の入場回数制限は3回
  • 月の入場回数制限は10回
  • マイナンバーの提示
  • カジノ税の導入|収入の30%を基準

これにより安易な利用や必要以上にのめり込んだ利用を防止してギャンブル依存症に対する対策としています。

ただし、IR整備法案のメインターゲットは、海外からの富裕層の誘致です。海外からの観光客には規制は適用されないのが、ネックですね。ただし、マネーロンダリング防止の観点からパスポートや身分証明などの提示は求められます。

また、カジノ税は国の収入になり地域経済の振興などを目的とした税金ですが、30%は結構高いですね。オンラインカジノや競馬などのギャンブルを参考に比較すると、ギャンブル収入の一時所得は年間300万円程度の場合10%の税率になるので、カジノ税の負担は大きいです。

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IRに関する対策・事業者への規制

カジノ事業を実施する運営会社に対しても整備法に基づき厳しい審査が行われ、認可を得た会社のみが開設することができます。その上、カジノの運営が始まったのちも第三者機関により厳しい査定が継続して行われる予定になっています。

また、ギャンブル依存防止や清浄な風俗環境の維持などを目的として、不適切なカジノ施設の広告・勧誘は規制されます。特に未成年者に対しての広告や勧誘は厳しい取り締まりは必須でしょう。

以下でも触れていますが、IRは『カジノ』や『ギャンブル』に対するネガティブな印象から、なかなか日本にランドカジノをすぐ開業できる状況ではありません。近隣住民からの反対があったり、建設エリアでの治安対策では警察署や交番の増設・警察職員を増やすなどの対策が求められます。

結論:日本のカジノはいつできるか?|早くても2026年以降で先行きは不安

日本の店舗型カジノ・IRの事情について、2023年3月時点での状況を一通り解説しましたが、やはり日本国内では大規模なカジノを開業することへの課題・障壁というのは多いです。

仮に2023年、政府から大阪府(市)または長崎県へ計画認定をもらい建設開始ができても、開業までに解決するべきことが多いですね。

建設場所の課題・認定申請の取り消し運動など向かい風も

大阪夢洲は埋立地で、液状化や土壌汚染のほか地盤沈下などの問題点が指摘されています。これらの対策で790億円が投入される予定ですが、さらなる費用な問題事項が出てくるが見込まれます。物理的にカジノ建設が困難ということになれば、開業の遅延・中止も考えられます。

また、長崎・ハウステンボスのIR開業にも、区域認定申請の取り消しを求める署名活動が起きています。カジノによる治安悪化や賭博へのマイナスイメージなど、反対の声も目立っていますね。

▷外部サイト:長崎県民ネットが署名行動

これらの背景より、大阪夢洲の開業予定:2026~2029年と長崎・ハウステンボスの開業予定:2027年はもっと後ろ倒しになり、カジノ建設自体中止になる可能性もまだあります。

日本にカジノができる前にできること・オンラインギャンブルは?

合法なランドカジノのオープンが多い一方で、違法の闇スロットや違法パチスロの利用者もいるでしょう。ただ、無許可で運営している闇スロは逮捕されるリスクが多く、最近でも摘発が進んでいます。

闇スロット・違法パチスロの実態について

同じく完全な合法とは言えないオンラインカジノでは、現状の刑法では明確な違法性は認め難くグレーゾーンであるため、年々日本のプレイヤーが増えている印象です。

しかし、オンラインギャンブルもランドカジノの懸念点と同様に、借金やギャンブル依存症などのリスクがあります。そのため、特にカジノゲームにあまり慣れていない初心者はいきなりリアルマネーでオンラインカジノをプレイするのではなく、無料ゲームから試してみるといいでしょう。

詳しくは関連記事で、オンラインカジノを無料でプレイする方法より解説しています。そのほか、入金不要ボーナスによるフリープレイも可能で、アカウント登録をするだけで無料チップがもらえるオンラインカジノもあります。ランドカジノの日本開業がまだ先になる現状、オンラインカジノで試してみてはいかがでしょうか。